起業家向けにシェアオフィスを提供する企業として知られるウィーワークがついに日本に参入しました。2018年2月1日、初めてのオフィスを六本木のアークヒルズサウスタワーで開業し、注目が高まっています。ウィーワークは2010年アメリカのニューヨークで設立され、これまでにアメリカ国内をはじめ、海外各国でも事業を展開してきました。アジアでは、北京、ソウル、香港で先駆けてシェアオフィスを開業してきましたが、この度の日本への参入はアジア最大規模となる予定となっています。
ウィーワークは、日本でどのような展開をみせていくのでしょうか。今後は六本木を皮切りに、都内では渋谷の開業の発表が予定されているほか、丸の内、日比谷エリアでの開業も検討されています。具体的には、丸の内北口ビルディングや2017年に竣工した「GINZASIX」、新橋のオフィスビルでシェアオフィスの提供を予定しているのをはじめ、その他にも、2018年中に都内だけで10~12箇所での開業を目指していると言われています。さらに、東京以外のエリアにおいても、近年中に大阪での開業を視野に入れているほか、横浜や福岡等への進出も検討しているようです。
ウィーワークはソフトバンクグループと合併し、2017年に日本法人を設立しました。ソフトバンクはウィーワークに多額の投資をしたことでも知られています。2月に開業したアークヒルズサウスタワーのオフィスフロアは既に満室とも言われていますが、その35%がソフトバンクの部門、15%がソフトバンク関連企業であることが明らかになっており、契約のうち5割がソフトバンク系列の企業で占められています。ソフトバンク以外にも、ウィーワークはシェアオフィス事業を手掛けてきた三菱地所とも提携関係にあり、丸の内北口ビルディングにおける4フロア1400席のシェアオフィスは、三菱地所の協力により3月開設予定で準備が進められています。
ウィーワークより先にシェアオフィス事業を日本で展開していた企業としては、イギリスのリージャスやオーストラリアのサーブコープが挙げられます。リージャスは1998年、サーブコープは1994年に日本法人を設立しており、日本各地でシェアオフィスの提供を続けてきました。今後、この2社とウィーワークがどのようにシェアオフィス業界を牽引していくか注目されます。リージャスとサーブコープは、バイリンガル対応の可能な受付スタッフを置くなど付加価値の高いシェアオフィスを提供しています。これに比べるとウィーワークは、お洒落でゆったりとしたオフィス空間や起業家同士のコミュニケーションを図れる環境を重視しているのが特徴です。最近では、ベンチャー企業をはじめ、個人で事業を展開する人も増えてきました。会社に出勤して働くのではなく、ノートパソコンやタブレット等を持参して、Wi-Fi環境のあるカフェなどで仕事をするノマドワーカーも増加しており、一昔前と比べると日本でも自由な働き方ができる時代となっています。
ウィーワークが提供するシェアオフィスは、事務所となるスペース、会議等の打ち合わせをするスペースをオフィスに集うワーカー達が共有するものです。ワーカー達は同じ組織に属していないことも多く、起業家やフリーランスなど様々な形態で働いています。カフェなどで仕事をする場合、隣の席で同じようにパソコンを開いている人を見かけても、そこから関係が発展していくことはあまりないでしょう。その点、シェアオフィスを利用していると、共有スペースで顔を合わせているうちにコミュニケーションが生まれ、仕事の話で刺激を受けたり、コラボレーションが生まれる可能性もあるのです。このような同じ空間で働いている「人と人との繋がり」こそがウィーワークが提供するシェアオフィスの魅力のひとつでもあります。ウィーワークのオフィスでは、コミュニティマネージャーと呼ばれるシェアオフィス内で働く人をサポートする人員が配置されています。コミュニティマネージャーは、会員となっている個人事業主や企業の特性を調べて分析し、方向性が合いそうな会員同士をお互いに紹介する役割も果たしているのです。このような特徴のあるウィーワークのシェアオフィスは、一緒に働く仲間を見つけたい人や事業を発展させたい人の目には、とても魅力的に映るのではないでしょうか。
ウィーワークの日本での展開は、今後も拡大していくとみられています。世界規模でシェアオフィスを提供しているウィーワークの日本進出は、今後の日本の賃貸オフィス事情にも大きく影響していくでしょう。今後もウィーワークの動きから目が離せません。