株価動向2015/12

2015年12月1日日経平均株価が2万円台に回復しました。これは8月以来の高値となります。現在の日経平均株価は2万円台を少し割り込んでいますが、9月下旬には1万7千円台を下回っていたことを考えると、3か月弱の間に3000円近く上昇したことになります。しかしながら、それ以降、上昇傾向が続いている訳ではなく2万円台近くを行ったり来たりしている状況です。
今後の株価は一体どのように推移していくのでしょうか。大方の予想としては、年末にかけては1万9000円台前後が続き、1~2月にかけて一旦調整を行い、3月に2万円台に昇るのではないかと見られています。

日経平均株価の推移
日経平均株価の推移

株価が上昇、下降する要因には鉱工業の生産や金利や為替、原油価格など多数のマクロ要因がありますが、中でも現在、株価に影響を与えているのは原油安だと言われています。世界的に原油価格が大幅に下落しているのにも関わらず、産油国では変わらずフル生産を続けており、世界における原油の需要がどんどん下がっている中、原油の在庫は増えていく一方です。つまり、需要と供給のギャップがますます開いていくばかりなのです。この状態が改善されない限り、原油価格の下落は今後も続いていくことになるでしょう。2015年9月の原油安の際にも世界最大の資源商社であるグレンコア社の株価が大暴落しました。12月も同じような状況になるのではないかと懸念されています。
このような世界情勢が日本の株価にも影響を与えることは言うまでもありません。東証株を実際に売買している人口の7割は、外国人投資家であると言われています。原油価格の下落により損失が生じ、その損失を埋めるために日本株を売ることは大いに考えられます。さらに、日本株の売りが先行することで、円が買われやすくなり、円高に繋がっていくことも予想できるでしょう。日本は原油輸入国であるので、原油価格が下がることによるメリットもありますが、株式市場への影響を考えるとデメリットの部分も大きいと言わざるを得ません。今後も原油価格の推移には十分な注意が必要となりそうです。
なお、原油価格などのマクロ要因は株価に反映されますが、一方でマクロの変化は各企業の業績などミクロにも影響を及ぼします。そのため、日経平均株価の予測には、日経平均採用企業の予想株価収益率を見ることも有効です。ここ数年の間に、日本の株価市場はアベノミクス効果もあり、上昇が見られていました。ただし、長期的な上昇トレンドは山場を過ぎたのではないかとの見方もあります。今後は、相場を見極めながら利益の確定をしっかりすることが投資戦略の上で大事になってくるのではないでしょうか。

分譲マンションの売買価格2015/12

首都圏、近畿圏、中部圏の中古マンションの平均価格
首都圏、近畿圏、中部圏の中古マンションの平均価格

2015年1月、相続税が大幅増税されました。それに対応するための節税対策として、マンション投資が一部の富裕層を中心にブームとなっています。不動産の課税評価額は実際の売買価格よりも低くなるため、不動産を所有しているだけで相続税の課税評価額を下げることができ、続税できるという訳です。中でも、200平米以下の物件は「小規模宅地等の特例」が適用され、評価額が半分になります。そのため、都心のワンルームマンション投資は、有効な節税対策と言えるでしょう。こうした動きは国内の富裕層や外国人投資家と中心にしばらく続くだろうと見られています。一方、サラリーマン層は少し違った動きを見せています。いわゆる中間層の賃金は、景気回復と言われながらもなかなか上がってこないのが現状です。3000~4000万円の郊外の中古マンションの売買が今後活況を見せてくるかどうかは、中間層の賃金の推移にも関わってくるでしょう。
一方、円安のため業績が回復している大手の輸出主導型企業においては、賃金やボーナスも上昇傾向にあり、都心の8000万円クラスのマンションを購入する気配が見られています。さらに、昨今の超低金利もマンション購入の需要に拍車をかけていると言えそうです。
また、東京オリンピック開催を背景に、湾岸エリアのタワーマンションの価格が高騰しています。このエリアでは、マンションの建設ラッシュが始まっており、オリンピック後には選手村の跡地にもタワーマンションが建つとの見方もあるようです。
東日本大震災以降、湾岸エリアをはじめとしたマンションの売買価格は下落傾向にありました。しかしながら、2013年以降は少しずつ上昇し、成約件数も増加してきています。リーマンショック前と比較すると、まだ少し価格は低いものの、高値だった2010年の売買価格を上回っているのが現状です。この要因としては、円安により海外の投資家のマンション投資が増えていることや、東京オリンピック開催による東京という土地の評価が上がっていることも追い風となっていることが考えられます。ただし、この状態がいつまでも続くと楽観視するのは危険でしょう。少子化によるマンション購入層の人口の減少や全体的な経済状況はデフレ脱却とまではいっていないことからも、マンション売買市場における活況が続くのは一時的と見た方が良いかもしれません。

賃貸オフィス市場2015年12月

東京のオフィスビルの賃貸市場動向
東京のオフィスビルの賃貸市場動向

2015年現在、オフィスビルの空室率は減少を続けています。その要因としては、大型オフィスビルや新築ビルの募集面積が減少傾向にあることが考えられます。オフィスを探す企業側としては、物件を探しづらくなっており、小・中規模ビルや既存のオフィスビルを複数一括で賃貸したり、立地や設備面で劣る物件であっても契約をするケースが増えてきているのが現状です。大型ビルが新築される予定も多くはなく、しばらくはこの状態が続くのではないかとの見通しが立っています。
丸の内や大手町等のオフィス街では、この空室率低下の傾向はさらに強まっています。2015年の丸の内・大手町エリアの空室率は2%下回るとも言われており、それと反比例するように、東京都心の物件の賃料は上昇傾向にあります。これは、郊外から都心部にオフィスを移す企業が増えていることとも関係しているでしょう。極端に賃料が上がっているのは、都心の一部のオフィスビルに限定されるのも事実ですが、2020年の東京オリンピック開催に向けて、さらなる賃料の上昇を予想する見方も出てきています。オリンピック開催の決定により、東京の土地の評価はさらに上がっていくでしょう。さらに、政府が法人税の減税を検討していることや都内を中心としたインフラ整備が進むことも相まって、外資系の企業が今以上に東京に進出してくることも考えられます。外資系企業の特徴として、丸の内・山の手エリアをオフィスの場所として好む傾向があることから、都心部の物件はさらなる競合を迎えることになりそうです。
2017年4月に消費税がさらに10%に引き上げられることも決定しているため、オフィスの移転は早めに物件の見当を付けて動くことが鍵となるでしょう。
オフィスの空室率が下がっているとはいえ、好条件の物件はすぐに契約が決まってしまい、条件が立地面、設備面等で劣る物件はいつまでもテナントが決まらないというのも現状です。こうした二極化を避けるためにも、条件に難のある物件はリフォームや耐震補強などをしっかりとすることが求められています。
オフィスの探し方としては、インターネットを利用する方法が最も需要が多く、条件の良い物件程、早く契約になってしまうため、ニーズを明確にし迅速に行動することがより良い事務所に巡り合う良い方法ではないでしょうか。

不動産市場の動向 2015年12月

5年後に東京オリンピックを控えた2015年現在、東京、神奈川、埼玉、千葉などの南関東を中心にマンション等の住宅価格は回復傾向にあります。中でも東京の土地価格は上昇しており、この傾向は今後も続くだろうと予想されています。
要因は、景気回復や株価の上昇などから東京を中心にマンションや戸建て等の住宅購入者が増加していることをはじめ、住宅ローンの減税と住宅における贈与税の減税や2015年から改正された相続税増税への対処として節税の為に不動産投資をする人が増えたことなどが考えられます。
また、円安により海外の投資家が日本で不動産投資をしていることなども要因の一つとして挙げられるでしょう。
さらに、東京の土地価格の上昇に関しては、東京オリンピックの開催が決定したことも大きな影響を与えていると考えられます。江東区を中心とした湾岸エリアの交通インフラの整備がオリンピックに向けて加速していくことが予想されていますが、それに伴って東京の住宅ニーズも増加しているのです。

首都圏の中古マンション㎡単位の推移
首都圏の中古マンション㎡単位の推移

このような理由から、マンション等の不動産市場の価格は、しばらくの間、上昇傾向が続いていくのではないかと予想されています。ただし、2017年4月に消費税10%に増税されることが決定していることなどから、この不動産市場の好景気がいつまでも続くとは考えづらいのも事実でしょう。2016年夏以降には、増税前の住宅購入の駆け込み需要が予想されますが、2017年4月の増税後は逆に転じる可能性もありそうです。
所有している不動産の売却ということを考えるのであれば、少し余裕を持って、2016年夏あたりまでに予定するのがタイミングとしては良いでしょう。2015年のうちから複数の不動産会社に査定を頼んで、信頼できる業者を見つけておくのも得策かもしれません。
不動産を購入するにせよ、売却するにせよ、まずは2017年4月の消費税増税が大きな節目となるのは間違いなさそうです。その後、2020年の東京オリンピックまで、世相がさらにどのように変化していくのを見極めながら、不動産の購入や売却のベストタイミングを見計らっていきましょう。
2015年現在も、不動産市場は好景気と言えますので、購入・売却にあたっては悪くないタイミングかと思われます。