分譲マンションの売買価格2015/12

首都圏、近畿圏、中部圏の中古マンションの平均価格
首都圏、近畿圏、中部圏の中古マンションの平均価格

2015年1月、相続税が大幅増税されました。それに対応するための節税対策として、マンション投資が一部の富裕層を中心にブームとなっています。不動産の課税評価額は実際の売買価格よりも低くなるため、不動産を所有しているだけで相続税の課税評価額を下げることができ、続税できるという訳です。中でも、200平米以下の物件は「小規模宅地等の特例」が適用され、評価額が半分になります。そのため、都心のワンルームマンション投資は、有効な節税対策と言えるでしょう。こうした動きは国内の富裕層や外国人投資家と中心にしばらく続くだろうと見られています。一方、サラリーマン層は少し違った動きを見せています。いわゆる中間層の賃金は、景気回復と言われながらもなかなか上がってこないのが現状です。3000~4000万円の郊外の中古マンションの売買が今後活況を見せてくるかどうかは、中間層の賃金の推移にも関わってくるでしょう。
一方、円安のため業績が回復している大手の輸出主導型企業においては、賃金やボーナスも上昇傾向にあり、都心の8000万円クラスのマンションを購入する気配が見られています。さらに、昨今の超低金利もマンション購入の需要に拍車をかけていると言えそうです。
また、東京オリンピック開催を背景に、湾岸エリアのタワーマンションの価格が高騰しています。このエリアでは、マンションの建設ラッシュが始まっており、オリンピック後には選手村の跡地にもタワーマンションが建つとの見方もあるようです。
東日本大震災以降、湾岸エリアをはじめとしたマンションの売買価格は下落傾向にありました。しかしながら、2013年以降は少しずつ上昇し、成約件数も増加してきています。リーマンショック前と比較すると、まだ少し価格は低いものの、高値だった2010年の売買価格を上回っているのが現状です。この要因としては、円安により海外の投資家のマンション投資が増えていることや、東京オリンピック開催による東京という土地の評価が上がっていることも追い風となっていることが考えられます。ただし、この状態がいつまでも続くと楽観視するのは危険でしょう。少子化によるマンション購入層の人口の減少や全体的な経済状況はデフレ脱却とまではいっていないことからも、マンション売買市場における活況が続くのは一時的と見た方が良いかもしれません。