賃貸オフィスの床の様々な仕様と進化

近年、都心では賃貸オフィスの建設やリフォームが進んでいます。それに伴い、賃貸オフィスの床の仕様も進化しています。それでは、賃貸オフィスの床の仕様にはどのような種類があるのでしょうか。順番にみていきましょう。

・OAフロア
フリーアクセスフロア、二重床、床上げとも呼ばれ、近年竣工の賃貸オフィスに採用されている床の仕様です。床を二重構造にすることで、30~100㎜の空間を作り、電話やパソコン、プリンター、LAN等のケーブルを自由に配線できるようになっています。通常、この二重床の上にカーペットが敷かれています。賃貸オフィスの資料に「OA100㎜」に記載してある場合には、底上げしている高さが100㎜ということになります。

OAフロア
OAフロア

・タイルカーペット
正方形に加工された小型のカーペットで、一般的な大きさは50㎝×50㎝です。この小型のカーペットを床の上に接着剤等を使わずに敷き詰めて使用します。床が汚れた場合にも、その部分のみを取り換えることができるほか、床下の配線工事の際にも一時的に取り外すことが可能など簡単に対応することができます。

タイルカーペット
タイルカーペット

・Pタイル
築年数の経過している賃貸オフィスに多くみられる床の仕様です。塩化ビニル樹脂等のプラスチック系の床材をタイル状に加工して床の上に敷きます。一般的なPタイルは30㎝×30㎝の大きさです。耐久性、耐水性が高く、汚れにくい特徴があり、オフィス、店舗、学校、病院等の床に幅広く使用されています。

Pタイル
Pタイル

・2WAY・3WAY
フロアダクト方式の床のことで、床面のコンクリート内に断面が長方形または台形の配線用のダクトが埋め込まれています。このダクトにコンセントやケーブルを繋いで使用します。ダクトが電話用配線と電気用配線の2回線なら2WAY、電話用配線と電気用配線、LAN配線の3回線なら3WAYとなります。Pタイル仕様の賃貸オフィスでは2WAYの場合が比較的多くなっています。2WAYも3WAYも上にカーペットが敷かれています。

以上が一般的な床の仕様の種類です。近年では従業員一人に一台のパソコンが用意されていることも多く、ケーブルを床の底上げ部分に収納できるOAフロアを希望される企業様が増えています。OAフロアでないとケーブル類がオフィスの床上に出ている状態のため、足やイスを引っかけて転倒や断線の恐れがあります。またOAフロアであれば、レイアウト変更の際にも自由かつ簡単に配線を変えることができます。
そのように便利なOAフロアですが、大きく分けて3つの種類があります。順番にみていきましょう。

・置敷タイプ
パネルの脚の隙間にケーブル類を配線しますが、配線の自由度は3種類のうちで最も低くなります。その分、軽量で建物への負担が少なく、施工期間も短くて済みます。樹脂(プラスチック)製なので、歩行の際に安定感が弱い面がありますが、低コストなため小規模な賃貸オフィスで使用されることが多くなっています。

・溝配線タイプ
置敷タイプに比べて重量がありますが、施工期間は短めです。配線のスペースは支柱タイプに比べて狭いですが、パネルが小さく簡単に取り外せるため手軽に配線を行うことができ、ケーブルの取り出し口の微調整も可能です。歩行も置敷タイプより安定感があります。素材は、一般的にコンクリートで、しっかりしている割に軽量です。コストは3種類のうち中間で、小~中規模の賃貸オフィスで採用されることが多くなっています。

・支柱タイプ
支柱の上にパネルを載せるタイプで、パネルの脚毎に高さの調整が可能です。配線スペースが広く、配線の自由度は3種類のOAフロアのうち最も高くなっています。スチールやコンクリート等のしっかりした素材を使用するのが一般的です。耐久性があり、歩行感も安定しています。デメリットは素材が重いこととコストが高いことで、大規模な賃貸オフィスで採用されることが多くなっています。

OAフロアでない床の賃貸オフィスに入居したとしても、後から工事をしてOAフロアにすることも可能です。ただし、OAフロアには上記のような種類があり、賃貸オフィスの規模等によって適するタイプが異なります。OAフロアへの変更を検討される場合には、まず入居中の賃貸オフィスの特徴や予算等をよく把握してからにすることをおすすめします。また二重床にすることで、天井高が低くなるため、底上げする高さを必要最低限にすることが望ましいでしょう。
業務の効率化やIT化が進むにつれて、企業様が望む賃貸オフィスの床の仕様も進化してきました。自社の条件に合った快適なオフィス環境は、業務自体の効率アップにも繋がります。オフィス移転の際には、新しく契約する賃貸オフィスの床の仕様についてもよく確認するようにしましょう。