エネルギーの種類と性質

エネルギーは、大きく分けて化石エネルギーと非化石エネルギーの2つに分けられます。化石エネルギーとは、1億年以上前から堆積した植物・動物の死骸が地圧や地熱、地層の変化を受けて作られたものです。主に、石油、石炭、天然ガスがこれに当たり、化石燃料と呼ばれています。現在、日本のエネルギー供給のうちの約8割をこの化石燃料に頼っていますが、様々な問題点を抱えているのも事実です。まず、化石燃料は有限のエネルギーのため、持続性の問題があります。さらに、化石燃料は燃える時に二酸化炭素、窒素酸化物、硫黄酸化物などを発生し、これらは、地球温暖化や酸性雨など様々な環境問題を引き起こす要因となっています。一方で、化石燃料を使用しないで得られるエネルギーを非化石エネルギーと言います。非化石エネルギーには、原子力エネルギーと再生可能エネルギーがありますが、どちらもエネルギーを放出する際に二酸化炭素を排出しないという特徴を持っています。原子力エネルギーを原料とする原子力発電は、二酸化炭素を排出しない点以外にも、大量の電力を安定して供給できる点やコストが安く済み、経済性が高い点、使用後の燃料を再利用できる点など多くのメリットのある発電方法です。しかしながら、人体に有害な放射線を厳重に管理しなくてはならず、一度事故が起きると、周辺地域にまで取り返しのつかない多大な被害を及ぼす危険性もあります。実際に、1986年、ソビエト連邦(現ウクライナ)で起きたチェルノブイリ原子力発電所事故や2011年の福島第一原子力発電所事故のような大きな被害も発生しており、原子力発電のメリットがデメリットを上回るかどうかについては、様々な論議がなされています。そんな中、現在、注目を浴びているのが再生可能エネルギーです。再生可能エネルギーは、化石燃料とは違って、資源が枯渇するということがありません。法律で「エネルギー源として永続的に利用することができると認められるもの」と定義されており、日本でも、東日本大震災以降、この再生可能エネルギーへの注目が高まっています。では、具体的に再生可能エネルギーとはどのようなものなのでしょうか。まず、代表的な5大再生可能エネルギーとして、「太陽光」「風力」「水力」「バイオマス」「地熱」が挙げられます。順番に見ていくと、まず再生可能エネルギーの中で最も大きな割合を占めているのが「太陽光」です。太陽の光を利用して発電を行うため、どのような場所でも設置して導入することができます。課題としては、天候の変化に発電量が左右されやすいことが挙げられますが、自宅の屋根や壁など今まで使用していなかったスペースを利用することができるほか、一旦機器を設置すると自動的に発電が行われ、メンテナンスもほとんど必要ないなどメリットも多く、この10年間で導入が8倍に増えているとも言われています。また、「風力」も近年、導入が増加している再生可能エネルギーです。その名の通り、風の力を利用した発電ですが、発電コストが安いメリットがあります。高い効率でエネルギーに変換でき、設備の設置も短期間で済むほか、太陽光とは違って、風さえ吹いていれば夜の間でも発電できるのが特徴です。日本では台風が多いため、気象条件に合った風車の開発が今後求められています。

太陽光発電、風力発電
太陽光発電、風力発電

「水力」は、日本で歴史のあるエネルギー源です。技術も確立されており、河川や用水路をそのまま活用できるため、大規模なダムの建設も必要ありません。さらに、河川の水質改善にも繋がるため、環境にも貢献できる発電方法です。「バイオマス」とは、動物や植物を資源としたエネルギーの総称で、家畜の排せつ物や稲わらを燃やしたり、ガス化したりすることで発電をします。バイオマスの資源は光合成によって二酸化炭素を吸収し成長するため、地球温暖化にも役立つと考えられています。また、家畜の排せつ物など、もともとゴミとして捨てるはずだった物を資源として再利用するのでエコにも貢献できるのが特徴です。ただ、その資源が様々な場所に分散して存在しているため、収集や運搬に手間とコストがかかるのが課題と言えるでしょう。「地熱」は地下にある地熱のエネルギーを利用する発電です。火山列島である日本ならではの発電方法と言っても良いでしょう。枯渇の心配もなく、長期間に渡って昼も夜も安定した発電が行われるメリットがあります。以上が5大再生可能エネルギーですが、これ以外にも「太陽熱」や「雪氷熱」「温度差熱」「地中熱」などの再生可能エネルギーも存在します。現在は、利用するエネルギーの多くを海外からの輸入に頼っている日本ですが、持続性の問題、さらには、地球温暖化をはじめとする環境問題も深刻となっている今、エネルギーについて見直す必要がある時期に来ているのかもしれません。自然に恵まれ、様々な再生可能エネルギーの可能性を持っている日本。日本の未来のため、そして地球の未来のために、今後、再生可能エネルギーを有効に利用していくことが求められているのではないでしょうか。